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日本経済2017年予測 GDP上昇、インフレ率上昇、株価上昇へ

 2016年9月、日銀が総括的検証と金融政策の枠組み変更を行いました。総括的検証では物価安定目標2%の実現が達成できていないことを認め、枠組み変更も行ったため、もう物価目標2%は無理だ、という空気が広まってきてしまっています。

 しかし、冷静に現在の状況を考えると、決して悲観すべき状況にはありません。

まずは、総括的検証に出てくる以下のグラフを見てください。

 

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 ※日銀「総括的検証」から引用

これはインフレ率がどのような要因で決まるか、要因分析をしたものです。金融政策によって物価がコントロールできる、という主張の意味は、金融緩和で予想インフレ率を上げて、実際のインフレ率を上げることができることを根拠としており、それは図の通り確かに物価に効果があることがわかります。そしてもう一つ、大事な指標は、需給ギャップです。需給ギャップとは、

  需給ギャップ=潜在gdp-現在のgdp

で表せる量です。簡単にいうと、今のgdpは高いのか低いのか、を示す数字です。今現在、日本の需給ギャップはマイナスです。これが物価の下押し圧力となっているのです。

 需給ギャップについてみていきます。

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※データは内閣府

グラフを見てわかる通り日本は2000年からほとんど需給ギャップがマイナスであると分かります。

(→ほぼずっと不況)

では、どのように需給ギャップを改善していけばよいのか。もっとも重要かつ確実な方法は財政支出です。財政支出は直接的にgdpを増やし、需給ギャップを改善させます。

(金融政策でも需給ギャップを改善することは可能です。この説明にはワルラスの法則を使います。ワルラスの法則とは、辞書的に、

 経済全体にn個の財が存在するとして,第i財の価格がpi(i=1,2,……,n),各財の価格がp=(p1,……,pn)であるときの第i財の総需要量をDi(p),総供給量をSi(p)(i=1,2,……,n)と記そう。そのとき任意の価格についてが成立することをワルラスの法則という。L.ワルラスがその一般均衡理論の数式化においてしばしば活用したもので,命名はO.ランゲである。この内容を言葉で述べれば,〈経済全体の総需要価値額は総供給価値額に恒等的に等しい〉ということになる。

ということで、財が需要不足(需給ギャップマイナス)→貨幣の需要過剰(量的緩和)といえます。)

 

安倍政権は2013年は財政支出を増やしたため、需給ギャップが大きく改善しました。しかし、2014年の消費増税以降、財政支出は大幅に削減されました。これによって、物価上昇、需給ギャップの改善が大幅に遅れました。

 しかし、今回、政権はこの反省に立って、大幅な財政出動に動いています。

www.nikkei.com

これによって、来年には需給ギャップが改善すると予想できます。

 

来年の景気は、決して悲観できません。